有限会社高千穂産業 TAKACHIHO 医療系民間救急事業所
2025年12月01日

民間救急という言葉の“曖昧さ”が抱える問題

— 医療サービスは誰が責任を負うべきなのか — 私たちは日頃から 「医療系民間救急事業所」 と自称しています。 しかし、これは単なる名称ではなく、「現在の日本の民間救急の構造的な曖昧さ」への問題意識から来ています。 ■ なぜ「医療系」と名乗るのか 民間救急と聞くと、一般の方には「医療の専門家が関わる搬送サービス」というイメージがあるかもしれません。 しかし現実には、 医療系民間救急 福祉系(介護タクシー等)民間救急 これらの線引きが明確ではなく、同じ「民間救急」として扱われてしまうことが多くあります。 特に問題なのは、 「看護師や救命士が乗っていれば医療系民間救急になる」 という誤解が一部で生まれている点です。 もちろん、乗務する職員の資格は重要です。 しかし本質はそこではありません。 ■ 医療サービスは「責任」をどこが負うかが最も重要 私の考えでは、 医療サービスを名乗る以上、提供した行為の責任を、事業所に所属する医療従事者が負える体制であることが必須 だと考えています。 近年の医療業界では、 「直美(ちょくび)」と呼ばれる現象  → 研修を十分に積んでいない医師が、すぐ美容外科に進むケース インフルエンサーがプロデュースする美容クリニックの閉院 など、“医療行為と営利性のバランス”が問われるニュースが増えています。 ビジネスとして人気やマーケティングを重視する流れは理解できます。 しかし医療は「一時のサービス」で完結しません。 医療サービスとは本来、 その人の人生を最後まで支える覚悟と責任が伴う行為 です。 だからこそ、民間救急においても、 「医療」を掲げるのであれば、 事業所に責任主体としての医療従事者が存在することが必須条件であるべき だと強く感じています。 ■ 現状の「誰でも医療系を名乗れてしまう」問題 現状の制度では、 医療系を名乗る民間救急事業所であっても、 事業主が医療従事者でなくとも運営できてしまいます。 これは、 医療の品質管理 緊急時の責任所在 事案対応の判断力 継続的な患者支援 といった点で大きなリスクとなり得ます。 民間救急への信頼性が揺らぐだけでなく、 最終的には市民の安全にも影響しうる問題です。 ■ 本当に必要なのは「区別」ではなく“適切な役割定義” 私は、 医療系と福祉系の民間救急が 明確に区別 されるべきだとは思います。 しかしその目的は、「上下をつける」ことではありません。 大切なのは、 それぞれの役割を正しく定義し、適切な責務を担うこと です。 医療が必要な場面では医療の専門家が責任をもって対応する 生活支援が中心の場面では福祉の専門家が丁寧に寄り添う そして両者が連携しながら市民を支える この体制こそが、地域に本当に求められる“支援の形”ではないでしょうか。 ■ 最後に 民間救急はまだまだ制度として発展途上であり、 法律上の位置づけも明確とは言えません。 だからこそ、 「誰が、どのような責任を持って医療を提供するのか」 という根本を、市民にも行政にも業界にも理解してもらう必要があります。 私たちは引き続き、 医療従事者としての責務と誇りをもって、地域に安心と安全を届ける民間救急 を目指して活動していきます。

この記事をシェア